薬事法における虫除けの効能の記載のルールを知っておこう

虫よけ剤を購入しようと思った時に、選び方の基準が分からずに迷ってしまったという経験を持つ人もいることでしょう。ここでは、薬事法において、虫よけ剤の効能の記載をする際のルールがどのように定められているかについてご説明します。

数ある虫よけ剤のなかから、安心して使えるものを適切に選ぶためのヒントになれば、と思います。

「美肌」の文言は薬機法(旧薬事法)で使える?言葉を考えるときに注意したいこと

そもそも薬事法とはどんな法律なの?

薬事法は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という正式名称を持つ法律です。名称が長いことから、薬事法または薬機法と略して表現されることが多いです。

法律名にも記されているように、医薬品や医療機器などに関するルールを定めるための法律であり、医薬品や医療機器以外にも、健康に影響を及ぼすものについてのルールを定めています。薬事法において医薬品等と規定されているのは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5つです。

順調に化粧品の販売を行うためには万全な薬事法対策が必須

薬事法で「虫よけ」の効能が認められているものとは?

薬事法においては、5つに分類されたものそれぞれに認められている効能表示があります。「虫よけ」の効能表示が認められているのは、医薬品と医薬部外品として承認を受けたもののみです。虫よけという言葉は、日常的な会話でも使う機会が多く、消費者にとって親しみやすいと感じられる語です。

「虫よけ」や「蚊よけ」と記載してあると、消費者は手に取ってみたくなるものですが、医薬品や医薬部外品ではないにも関わらず、「虫よけ」と表記している製品は薬機法違反であると認識しておきましょう。例えば、化粧品において、虫が嫌うような匂いを使っている場合に「虫よけ」の効能表示をするのは、薬機法違反にあたります。

薬機法上の細かなルールを覚えるのは、消費者にとっては大変な部分もあります。安心して使える虫よけ剤を選ぶ上では、医薬品か医薬部外品のなかから選ぶことが大事、という基本についてはしっかり覚えておくとよいでしょう。

雑貨における「虫よけ」の効能表記について

雑貨に関する「虫よけ」の効能効果の標ぼうに関しては、どのように規定されているのでしょうか。薬機法で、医薬品や医薬部外品に限定されている「虫よけ」の効能効果の表記は、人や動物に対して使用するものを対象としています。

化粧品と同様、雑貨に関しても、人や動物に使うものについて、虫よけ効果を表記するのは、違反とされます。ここで注目したいのが、薬機法で言及されている「虫よけ」の効能が、人や動物を対象とすると規定されている点です。

虫よけには、人や動物ではないものを対象としている製品であれば、雑貨等に虫よけの効能を記載できます。身近な例としては、服の防虫剤が挙げられます。服の防虫剤は、明らかに人や動物を対象とするものではなく、衣類を虫の被害から守るための製品のため、衣類の虫よけという表記が可能です。

住まいを白アリ等から守るための虫よけ剤に関しても、人や動物を対象としていないため、防虫や虫よけといった表記ができます。また、園芸用の防虫剤に関しても、花や木を対象とするものであり、防虫や虫よけという表現が使用可能です。

対象とするものが何かという点を考えてみると、薬機法の対象になるか否かが明確になります。

医薬品、医薬部外品以外で「虫よけ」の効能を標ぼうしていたNG例とは?

では、「虫よけ」の効能標ぼう関連で、過去に薬機法違反とされた例には、どのような事例があるのでしょうか。まず、雑貨に、虫が嫌がるアロマの香りと記載していた製品は、薬事法違反とされました。アロマスプレーは、直接人体に塗布するのではなく、服にスプレーすることもありますが、人に対する効果を期待する上で使用するものであるとみなされます。

気軽に購入しやすい雑貨類の場合、医薬品などを購入する時と比べると、効能効果をさほど丁寧に読まずに購入してしまうこともあるかもしれません。紛らわしい効能表記がされているものを購入して後悔することがないよう、雑貨を購入する際であっても、人体に影響を与えるものについては特に慎重さを持って選ぶことが大事です。

また、化粧品に、新感覚の塗るタイプの保湿&虫よけジェルと名付けた製品についても、薬機法違反にあたります。効能効果として記載されているのではなく、商品名のなかに効能効果が含まれている製品については、パッと見ただけでは、薬機法違反であるかどうかが判断しづらいケースもあります。

購入前にじっくりパッケージや商品説明を確認して、不明な点や疑問に感じる点がないかを調べるようにすると、安心安全に使えるものを選択しやすくなるでしょう。

虫が気になる季節に使う吊り下げタイプの製品の問題

過去には、吊り下げておくだけで虫が近づかなくなると謳って販売された雑貨に関して、薬機法違反にあたると判断された例もあります。消費者のなかには、医薬品、医薬部外品として正式に承認された上で販売されているものであるかどうかを知らずに購入した人も多数いて、社会問題にもなりました。

医薬品、医薬部外品としての承認を受けるまでには、数年間程度の歳月が掛かるため、商品開発をしてから消費者のもとにすぐに届けるのは難しいものです。雑貨として販売する方が、消費者に早く便利なものが届くというメリットがあるのは理解できるものの、実際に使用する消費者側からしてみると、安心面や安全面で不安要素が残ってしまうのも事実です。

殺虫効果のある安心して使える製品を選びたい場合、医薬部外品として販売されている蚊取り線香がおすすめです。昔ながらの火を点けて使う蚊取り線香も風情がありますし、より快適に使いたいなら、リキッドを補充して使える防除用の医薬部外品を検討するとよいでしょう。

コンセントに挿して使うタイプもあれば、好きな場所に移動して使いやすい電池式のタイプもありますので、用途に合わせて選んで活用してください。医薬部外品として承認されている防除用品のなかに、多数の選択肢がありますので、安心して使えるものを適切に選ぶように心がけることが大切です。

「虫よけ」の効能標ぼうに関するルールを知っておこう

人や動物に対する「虫よけ」の効能を標ぼうできる製品は、薬機法において、医薬品と医薬部外品のみと規定されています。化粧品や雑貨に「虫よけ」と効能表記しているのは、薬機法違反にあたります。なお、薬機法の取り扱いになる「虫よけ」の効能は、人や動物を対象とするものに限られます。

服の防虫剤、家の白アリ駆除剤、園芸用の虫よけ剤などは、人や動物を対象としていないため、虫よけの効能表記をして販売していても、薬機法違反とはなりません。