順調に化粧品の販売を行うためには万全な薬事法対策が必須

ネット上や対面で化粧品の販売を行うにあたっては、高い安全性が認められている商品を扱うだけでなく、商品に関係する薬事法をはじめとする法律の知識を身に着けることも大切です。薬事法に触れる広告を出したり誤解を招く表記をしたりした場合は、行政処分や刑罰を受けることもあります。

そこで、今回は薬事法対策のために、事業者が行うべきことや注意点について見ていきましょう。

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薬事法違反の指摘を受けるおそれがある表記や表現について確認しよう

美容液や化粧水、クリーム、シャンプーなどの化粧品は、医薬品のような効果や効能が認められておらず、事業者は薬事法に抵触しないよう慎重に対応をすることが求められます。通販や実店舗で化粧品販売を始めるにあたっては、最新の薬事法の事情を把握して、商品説明に含めることができる表記や表現についてきちんと学ぶ必要があります。

厚労省をはじめとした国の機関のホームページにおいては、事業者に向けて薬事法の観点から一切使用が認められていない効果や効能などの記載について詳しく掲載されています。薬事法の改正によって、従来は商品説明に使えていた表記や表現が規制されることもあるので、日ごろから改正のポイントを確認しておくことが大切です。

また、主にネット上で化粧品販売を行いたい場合には、事業の開始前に多くの顧客を抱える他の事業者の通販サイトを参考にして、薬事法違反にあたらずに上手くアピールできる表現について学ぶのも良いでしょう。一度でも薬事法違反で摘発を受けてしまうと、常連の顧客が離れるだけでなく、取引先との契約が解除されたり、ECモールの出店を断られたりするリスクもあります。

こうした、ビジネス上のトラブルを回避する上で、自社で扱う一つひとつの商品の特徴を理解して、顧客に対して常に正しい説明を行うように心がけましょう。

医療分野の資格や経験を持つフリーのライターへの依頼も検討しよう

化粧品の販売を始めるにあたって、薬事法に触れない説明文や紹介文を書くことに自信がない場合には、薬剤師など医療分野の資格や経験を持つライターに任せるのもおすすめです。特に、製薬会社や化粧品会社などに勤めたことのあるライターは、個人から法人まで多くの化粧品の販売事業者の間でニーズが高まっています。

ライターの報酬額は実績や依頼する文章の内容、文字数など色々な要素に左右されるので、時間をかけて予算の範囲内で対応してくれる人を探すことが大事です。一般的に、化粧品の説明文や紹介文の作成を請け負っているプロのライターの中でも、様々なメディアへの露出が多い人は報酬額が高い傾向が見られます。

一方で、企業から独立したばかりの駆け出しのライターであれば、低価格で依頼できるケースもあります。様々なメーカーの化粧品や、最新の薬事法の改正について熟知しているライターを探したい時は、医療分野のプロのライターと交渉できるクラウドソーシングのサイトを利用してみてはいかがでしょう。

サイトによっては、ライターの経験や得意分野、過去の受注歴など基本的なプロフィールを無料でチェックできるところもあります。こうしたサイトを使うことで、初めてでも費用を気にせずにニーズに合う依頼先を決めることが可能です。

なお、期待通りの品質の説明文や紹介文を納品してもらえるか不安であれば、初回に限りお試し価格で対応してくれるライターを探してみましょう。

事業規模によっては薬事法に関する事件を専門に扱う法律事務所との顧問契約もおすすめ

国内外で不特定多数の顧客をターゲットとして化粧品販売を行う際は、事業者として社会的な責任も大きくなるため、薬事法を意識しながら健全に事業を行える体制を整えなければなりません。事業資金にゆとりがあれば、薬事法に関するトラブルを未然に防ぐうえで、優秀な弁護士が揃っている法律事務所にサポートを依頼するのもおすすめです。

薬事法に詳しい弁護士と顧問契約を結ぶ場合は、月々の報酬額が高額になったり、様々な場面で手数料が発生したりすることもあります。経営を圧迫しないように薬事法対策を行うには、評価の高い法律事務所の中でも一か月あたりの顧問契約の料金設定が良心的なところや、時間制の有料相談のみ対応しているところを選ぶという方法もあります。

その他、法律事務所や担当の弁護士の方針によって、薬事法に関するサポート対応が異なります。費用を無駄にしないためにも、いくつかの法律事務所に無料相談の申し込みをして、満足のいく対応をしてもらえるか見極めることが大切です。

無料や低価格の薬事法チェックツールも利用しよう

経済的な理由から、薬事法対策としてプロのライターや弁護士などに任せるのが難しい時は、ネット上でダウンロードできる薬事法に特化した文章のチェックツールに注目しましょう。化粧品をメインに扱う個人の事業者から大手の法人まで広く利用されているチェックツールの中には、月々の利用料金が一切かからないものや、数百円から千円ほどで便利な機能を使えるものもあります。

最近では、単に文章中の語句や表現に問題がないかチェックするだけでなく、薬事法違反とならない言い換え表現を提案してくれるツールも登場しています。ツールによって操作方法や文章チェックの精度、管理画面の見やすさなどは大きく異なるため、運用実績が豊富なツールを中心にニーズに合うか判断をするのがおすすめです。

その他、医師や薬剤師、弁護士など専門家が直に文章の添削をしてくれるツールは、利用料金が高めのものが目立ちますが、精度の高さを重視する事業者から関心が集まっています。

薬事法のセミナーを通じて事業に生かせることを学ぼう

化粧品販売を専門に行う事業者向けのセミナーは、各地のイベントホールや会議室の他、オンライン上でも活発に行われています。テーマは主催団体によって様々ですが、特に薬事法に触れない広告表現について詳しく学べるセミナーは、多くの事業者の間で人気があります。

セミナーに参加してビジネスに生かせる知識を得るには、化粧品会社の社員や弁護士、薬剤師などどんな立場の人が講師を務めるのか確認することが大事です。数あるセミナーの中でも、化粧品販売のビジネスに直結する話を聞けるものや、グループワークなどを通じて同業者と交流を図れるものは、短い期間で定員に達することがあります。

そのため、魅力的なセミナーの開催情報をキャッチした際は、速やかに予約を取るのがおすすめです。どういったセミナーを選べば良いか分からなければ、新規の参加者へのサポートがしっかりしているセミナーの主催団体に相談をしましょう。

化粧品の販売事業者におすすめの薬事法対策の方法とは

健全に化粧品の販売を行うには、経営者自らが薬事法に対する意識を高め、特に注意が必要な表記や表現について調べたり、必要に応じて商品の説明文や紹介文の作成をプロのライターに任せたりと対策を立てましょう。また、薬事法に特化した文章チェックツールの利用や、化粧品の販売事業者が集まるセミナーへの参加なども検討しましょう。