薬事法に違反しないためには?効果効能を記載する際の注意ポイント

薬事法は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などの品質・有効性・安全性を確保するための法律です。この法律に違反すると、罰金や懲役などの刑事罰や、行政処分などの厳しい制裁を受ける可能性があります。そのため、効果効能を記載する際には注意が必要です。

今回は、薬事法において、効果効能を記載する際の注意ポイントをご紹介します。

「美肌」の文言は薬機法(旧薬事法)で使える?言葉を考えるときに注意したいこと

1.商品やサービスのカテゴリーを正しく把握する

まず、商品やサービスがどのカテゴリーに分類されるかを正しく把握することが重要です。なぜなら、日本における製品やサービスの販売・広告には、その性質に応じて異なる規制が適用されるからです。医薬品や医薬部外品は、国から許可や承認を受けた効果効能を表示できます。

これは、製品が特定の健康問題を治療・予防するための使用が許可されていることを表します。しかし、表示内容には厳格な規制があるため、記載する際には注意が必要です。化粧品や食品は、一般的な健康維持や美容などの範囲内でしか表示ができません。

これらの製品は、健康への特定の効果を謳うことはできないのです。表示内容は、製品の成分や使用方法に基づいて慎重に検討する必要があります。また、医療機器や健康雑貨なども、性能や機能に関する表示に制限があります。

正確な情報を提供し、安全性を確保するために一定の基準を満たす必要があります。

2.虚偽や誇大な表示をしない

薬事法を遵守するには、虚偽や誇大な表示をしないことが大切です。消費者に対して正確で誠実な情報を提供することは、信頼を築き、法的トラブルを回避するために不可欠だと言えます。まず、科学的根拠やエビデンスがない場合は、効果効能を表現しないか、あるいは可能性や期待感を示す程度に留めることが重要です。

虚偽の主張や根拠のない効果を宣伝することは、消費者を惑わし、不信感を抱かせる可能性があります。製品やサービスについては客観的な情報や信頼性のあるデータを持つことが重要です。また、個人の感想や体験談を使用する場合も、嘘や偽りがなく、一般的な結果を示すものであることを明確にする必要があります。

特定の個人の成功体験は一般的な結果と異なる場合があるため、客観的な情報と個人の感想を区別し、消費者に正確な情報を提供することが求められます。虚偽や誇大な広告は、消費者を欺くだけでなく、法的な問題を引き起こす可能性もあるため、企業や広告主は正確な情報を提供し、倫理的な広告原則に従うことが不可欠です。

信頼性のある説明・広告は、長期的な成功と消費者の信頼を築くために欠かせません。

3.医薬品的な効果効能を暗示する表現を避ける

製品やサービスの説明では、医薬品的な効果や効能を示唆しないようにすることが大切です。まず、病気の治療や予防を意図した表現は、医薬品的な効果や効能と関連付けられることがあります。薬事法では、一般の商品が病気を治療や予防できると主張することに制限があります。

そのため、製品の広告や表現において、病気の治療や予防をうたう表現を避けることが賢明です。同様に、身体の一般的な増強や向上を目的とする表現も、医薬品の効果効能と関連付けられることがあります。

例えば、「健康的な体を維持する」、「元気を取り戻す」、「体力を向上させる」といった表現は、医薬品のような効果を暗示する可能性があるため、注意が必要です。

商品名やキャッチフレーズにおいて、医薬品を思わせるものや、製品の成分や製法、起源、由来から効果効能が連想される表現も避ける必要があります。消費者が製品を医薬品と誤解する可能性を排除し、薬事法の規定を守るためにも重要です。

これにより、製品の適切な位置付けと安全性が確保され、法的な問題を回避できます。表現方法に関しては、専門家のアドバイスを受けることも考慮しましょう。

4.国が定めた基準やルールに従う

薬事法において、国が定めた基準やルールに従うことは非常に重要です。とくに、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品、栄養機能食品などは、国が審査または届出をおこない、その表示内容についても厳格な規制が設けられています。

トクホは、特定の健康効果を提供することが期待される食品であり、国が審査をおこなって許可を出す必要があります。トクホの表示内容は、厚生労働省の指針に基づいて設定され、その指針に従わなければなりません。虚偽や誇大な主張をおこなわず、審査を通過した健康効果に基づいた表示をおこなうことが求められます。

機能性表示食品も、特定の健康機能を提供することが期待される食品であり、国が審査や届出を受け付けています。表示内容は、国の基準に従い、科学的根拠に基づいた正確な情報を提供することが必要です。栄養機能食品は、国が定めた栄養成分と機能に関する表示をおこなうことができます。

ただし、表示内容は栄養成分に限定され、医薬品的な効果効能を主張してはいけません。これらの規制は、消費者の健康に対する信頼性と安全性を確保するために設けられています。法的な要件に従わない場合、企業は罰則や制裁を受ける可能性があるため、厳密な規制遵守が求められます。

5.重要な情報を隠さない

製品やサービスが健康に対して副作用を持つ可能性がある場合、それらの情報を必ず表示することが求められます。消費者は、製品やサービスの使用に伴うリスクを正確に理解する権利があり、この情報が隠されていると、健康に対する潜在的な危険を誤解する可能性があります。

製品やサービスの安全な使用に関する注意事項や禁忌事項、使用上の注意事項も、消費者に明示することが必要です。これらの情報は、消費者の健康や安全を守るために極めて重要です。また、有効期限の表示も明確にしなくてはいけません。

製品やサービスの有効期限は、消費者が安全に使用できる期間を示します。適切な保存方法や使用方法も表示する必要があります。明確かつ分かりやすく伝える必要があり、間違った使用や保存方法による悪影響を防ぐためにも大事です。

薬事法において効果効能を記載する際の注意ポイントまとめ

薬事法は、消費者の健康や安全を守るための法律ですが、同時に事業者の広告活動や競争力を制限するものでもあります。

そのため、薬事法を遵守しながらも、効果的な広告表現をおこなうことは、簡単ではありません。しかし、薬事法の基本的な理解と適切な表現方法を身につければ、消費者に信頼される商品やサービスを提供できるようになるでしょう。